初開催のケララのアーユルヴェーダ大学病院PNNM(以下PNNM)にて開催したインテンシブコース。
「美容法」、「オイルづくり」、「食事論」の3つの専門コースにわかれ、約3週間でアーユルヴェーダの叡智を実践的に使っていくための学びを得ていきます。
今回はその「オイルづくり」コースに参加者した和佳さんに、PNNMでの学びやケララでの滞在中に感じたことを、日本語サポートとして一緒に過ごした晴菜がインタビューします。
和佳さんは2023年2月にセラピストコースを受講し、今回で2度目の渡印。
"ドクターであるアヌ先生に、「あなたはセラピストになりなさい」と言われてから、セラピストになりました。その中でもっと生活に寄り添ったアーユルヴェーダの知恵を身に付けたいと、また来ちゃいました"
と話す和佳さんがアーユルヴェーダの本場で気づいたことを伺いました。
INDEX
- “牛と暮らしたい”という想いが繋いだアーユルヴェーダ
- プロセスを1から学ぶことで見えてくるもの
- 「日本じゃできない」じゃなくて「日本だからできること」を考える
- インドの空気が伝わる施術を届けたい
“牛と暮らしたい”という想いが繋いだアーユルヴェーダ
ー2023年にセラピストコースを受講していた和佳さん。参加のきっかけは?
日本で酪農の仕事をお手伝いする機会があり、牛の可愛さや豊かさを感じる一方で、牛との関わり方に疑問を持つようになりました。
そこから「畜産物としてではなく牛と一緒に伸びやかに暮らしたい」という想いが芽生え、どうやって生計を立てていこうかと考えていた時に、インドでは牛を神聖な動物として扱い、共に豊かに暮らしているということを知り、 そのインドに古くから伝わるアーユルヴェーダを学んだらヒントがえられるかなと思って参加したのが最初です!
ーすごい牛の導きですね。実際にインドでアーユルヴェーダの基礎を学んでみてどうでしたか?
セラピストコース中に、ドクターのアヌ先生に「あなたセラピストになりなさい」と言われたんです。アーユルヴェーダのドクターは病気に対しての処方箋を出すだけでなく個々の性質を分析していくので、そのドクターが私にやりなさいって言ったことは絶対やったほうが良いと思い、帰国後からセラピストとしての活動を少しずつ始めました。
セラピストコースではアーユルヴェーダの基礎を学び、アビヤンガ、シロダーラ、バスティ、キディなど教えてもらった手技の中から日本でも施術しやすいマルマチキッサやアビヤンガをお客様に提供しています。アーユルヴェーダの医療としての力を体感したからこそ、ドクターの教えに忠実に!
でも、日本とインドは気候やさまざまな環境の違いを感じて、もっと日本にあう知識を得たり、アレンジができる力が欲しいなと思っていたところにインテンシブコース開催のお知らせがあり、これは行くしかないと思いました。
プロセスを1から学ぶことで見えてくるもの
ー記念すべき、セラピストコース卒業生で第1期インテンシブコース卒業生でしたね。インテンシブコースを受けてみてどうでしたか?
オイルづくりでは、薬草の知識やオイルの作り方を古典書を紐解きながら学んでいきました。みたこともない植物に、嗅いだことのない匂い、もう全てが新鮮でした。今まで使っていたオイルの中身を知ることや薬草の効能を知ることでよりオイルが身近になっていくように感じました。
今まではインドで買って帰るしか選択肢がなかった「アーユルヴェーダのオイル」が、"自分で古典書レシピのものを作る"ということもできるし、"日本の薬草を使って自作オイルを作ってみれる"というのも選択肢として増えて、嬉しくなってインドでオイル作り用のお鍋まで買っちゃいました!
ー色々なオイルを作った中で特に印象に残っているものはありますか?
シーラバラタイラムというオイルがあるのですが、バラ(インド原産のアオイ科の植物)とミルクとごま油だけで作れるもので、とてもシンプルな作り方だったんです。 これなら日本で作れるし、みんなで作るのも楽しそうだなって。何より頭も体も顔にも使える万能なオイルだから、すごく道が拓けたような気持ちになりました。
それでもダヌワンタラムタイラムというメジャーなオイルは今の私たちには作れないとわかったり、とんでもない量の植物を使ってわずかにしか作れないことも知り、オイルの有り難みも強く感じましたね。また、オイルづくりは大学の過程だと2年生(1学年は1年半)にならないと学べないものだと聞いて、本当はもっと基礎知識がないと学べないような知恵を今学ばせていただいているということへの感謝の気持ちと、自分が学んでいるのはアーユルヴェーダの膨大な知恵の中のほんの一部なんだということも知りました。
ただ作れてハッピーってことだけじゃなくて、今の知識の地点を教えてくれることも、安心してお客様にオイルを使った施術をするために必要なことなので、どちらも私にとって良い学びでした。
「日本じゃできない」じゃなくて「日本だからできること」を考える
アーユルヴェーダの力をリスペクトし、セラピストとしてお客様に提供しているからこそ、「古典書に、ドクターの教えに忠実に」という想いがあります。その想いから日本でできること、できないことを感じたセラピストコースでしたが、今回のインテンシブコースでは"日本だからこそできること"をやろうと思えるようになりました。
オイルに使う素材以外にも、作り方や器具のアドバイスなどアヌ先生は親身に日本でできることを一緒に考えて教えてくれてました。
オイルを作る際の1次準備があるのですが、カルカ(薬草などをペーストにしたもの)はクレイのような手触りになるまで石を使って擦り潰します。そのペースとを細かくする作業がオイル作りの中で一番大変な作業なんじゃないかと思うくらい、とっても時間と力がかかる作業。なかなか日本ではここまでできないかもと思いましたが「その時は電動のミキサーを使えば十分よ」とアヌ先生は教えてくれ、自分ができる範囲でカスタマイズして作る方法もたくさん学ぶことができました。
あとは、インドに行ったきっかけが酪農で、インドでは牛乳を食用として飲むということ以外にも、牛乳の使い方がたくさんあるらしいぞ、と聞いて学びにいったわけです。
だからこそ、シーラバラタイラムを作る際には、牛乳に徹底的にこだわってみたいし、酪農家さんの新しい販路としても期待できるんじゃないかなとも考えています。
ー牛と共に豊かに暮らしたいという想いや酪農での経験が、和佳ちゃんの中でつながったんだね。
うん、そうかも。薄ぼんやり描いてたものが少し形になってきた気がするなあ。なんか泣けてきた!
インドの空気が伝わる施術を届けたい
ー2回目のインド、そして再び戻ってきたPNNM大学病院はどうでしたか?
1回目よりもっと余裕を持ってインドを感じることができましたね。
インドは私にとっては自分の心に素直になれて、目の前のことに集中できる場所。気候も穏やかで人々が笑顔に溢れていてエネルギッシュだし、でもみんな適当にゆるっと生きてる。そんなアーユルヴェーダの本場である土地からいろんなエネルギーを感じて、味わった心地よさをどう日本で伝えようかと思っていました。
あとは、日本とは違うことだらけで思い通りにならない時に、自分がどういう対応をするかを鍛えられるし、学ばされる場所ですね。
そして2度目のPNNMでの学びで、グッと解像度が上がった気がします。
基礎を教えてくれた前回のおかげで、ドーシャを考えながら、なぜこのオイルにはこの植物なんだろうって考えれるようになったり、オイルの処方のことであったり。
あとは原料に触れる機会が多かったので、なんでも触って、なんでも口に入れて、なんでも嗅ぎました。
これはインドでしかできないことで、薬草園に行った時には前回とは全く見え方が変わって、生え方や葉や幹などの観察もしました。
日本に持ち帰るために、インドでのそのままのアーユルヴェーダを学ぶことはすごく大事だなと。守破離という言葉のように、まずはオリジナルを学ぶことで、アレンジの幅が一層深くなっていくと思っています。なので、私にとってインドでアーユルヴェーダを学び、その知識の厚さはこれからの私を支えてくれると確信してます!
それに、アヌ先生に今回は「和佳さんはサロンを作りなさい」と言ってもらったので、今度はそこを目指して頑張ります!!
ーいいねー!和佳ちゃんがつくるサロン、行ってみたいなあ。
いつとは言えませんが、ぜひ完成したらはるちゃんも来てね!!
ー本当に和佳ちゃんは前回会った時よりもやりたいことが明確になってきて、生き生きと光り輝いている感じがする。セラピストコースを受けて1年半が経っているけど、ドクターたちが感動するほど学んだことを覚えているのは、学んだことを日本に帰ってきてからもアウトプットしているからだね。ますますパワーアップしていく今後の活躍を私もアヌ先生も楽しみにしています。
INTERVIEWEE
平田和佳
香川県出身。岡山県備前市と宮城県気仙沼市の二拠点生活。
フリーランサーとして働きつつ、2023年セラピストコース卒業後からは学んだことをベースに、セラピストとしてマルマセラピーやアビヤンガなどイベントや間借り営業で複業として行っています。
INTERVIEWER
大南晴菜
学生時代よりカナダ、アメリカなど様々な土地に移り住み、東京にて米国系企業での営業やエリア開発などを経験したのち、4年前から宮崎県に移住。
消費・消耗する生活から、循環する生活を目指してライフスタイルを楽しんでいます。
宮崎でヨガやアーユルヴェーダを伝えながら年に数回インドに渡り、インド留学コーディネーター兼通訳として、日本の生徒さんのアーユルヴェーダやヨガの学びを橋渡ししています。
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