初開催のケララのアーユルヴェーダ大学病院PNNM(以下PNNM)にて開催したインテンシブコース。
「美容法」、「オイルづくり」、「食事論」の3つの専門コースにわかれ、約3週間でアーユルヴェーダの叡智を実践的に使っていくための学びを得ていきます。
今回はその「食事論」コースに参加者したまいさんに、PNNMでの学びやケララでの滞在中に感じたことを、一緒に受講した和佳がインタビューします。
ヨガのライセンスをハワイで取得した際に、アーユルヴェーダに初めて触れたまいさん。
帰国後は料理教室に通ったり、ディナチャリア(理想の生活スタイル)の教えなどを日常でも取り入れるなど、アーユルヴェーダが身近になったまいさんは、2023年からは茅ヶ崎でアーユルヴェーダのお料理教室も主催しています。
なぜそんなにも、"アーユルヴェーダの食事"はまいさんを惹きつけたのかを紐解きながら、本場インドで学んだことを伺いました。
INDEX
- "一生治らないかも"と思った不調を改善してくれた食事
- 適切な量を適切な時に食べれば、薬や医療はいらない
- 自分の考えをアウトプットすることで身近になっていく知識
- 料理は五感を使って楽しむもの
"一生治らないかも"と思った不調を改善してくれた食事
ーまいさんとアーユルヴェーダの出会いは?
2019年にRYT200というヨガライセンス取得のためにハワイに留学したときに初めてふれました。
留学期間中はアーユルヴェーダの教えで構成された過ごし方や食事で、心も身体も元気になっていくのを感じていました。1番の変化は、学生の頃から悩んでいたニキビ。色々試したけどいまいち根本的に解決しなくて、当時は背中ニキビがひどく、一生治らないかもと諦めていました。だけどもう、ハワイの食生活になってから新しくできることはなくなっていて、日本帰ってからも食事に気をつけていたらぶり返すこともなかったんです。
それに、頭痛薬を飲んでも治らなかったひどい頭痛の症状もなくなりました。
ーヨガを学びながら、アーユルヴェーダのパワーも実感したんですね!そこから今回参加を決めた理由は?
RYT後は自分でギーを作ったり、アヴィヤンガ(オイルマッサージ)やピチュ(オイル湿布)をして過ごしていました。
去年大きく体調を崩したのがきっかけで、アーユルヴェーダの料理教室に通い始めると、自分の体調が戻ってきているのを再び感じることが出来ました。"本場のインドはどんな生活しているんだろう"と気になって、渡印してアーユルヴェーダを学ぶことを決めました。
適切な量を適切な時に食べれば、薬や医療はいらない
ーアーユルヴェーダの食事の魅力を知り、さらにはご自身も日本で学びつつ、教える立場でもあるまいさん。初めてのインド、そしてインテンシブコースを受けてみてどうでしたか?
私は普段、薬局で事務の仕事をしていますが、毎日本当に多くの患者さんが来店されて、たくさんの薬を処方されている姿を見ています。それで"なぜ病気になるのか、まで考えたことがあるのか"という疑問が何度も思い浮かびます。
ちゃんとした食事を食べれていれば、お医者さんや薬剤師はきっと必要ないのだろうと考えていましたが、授業でアヌ先生が「適切な量を適切な時に食べれば薬や医療はいらない」と教えてくれました。「やっぱりそうなんだ!」と思えたことがとても嬉しかったです。
そして、日本にいるとアーユルヴェーダはマッサージのイメージが強いですが、インドでは医療としての側面も大きく、実際に先生に診断してもらって薬を処方してもらいました。私は昔から便秘がちで、色々な不調がそこから来てると言われ、日本では大したことないと思われがちですが、改めて便秘を“身体の不調”と認識することができました。薬局では症状の酷い人に便秘薬を処方することもあるけど、それよりも便秘にならないような生活を心がけることの方が大事と思えています。
自分の考えをアウトプットすることで身近になっていく知識
ー食事論ではまいさんの目が一層キラキラしていくのが印象的でしたが、日本で学ぶ時との違いは何でしたか?
食事論は、アヌ先生と共にお母さんのようなあったかい存在のスミタ先生にも教えていただき、学校みたいな和気あいあいとした雰囲気で楽しかったのが印象的でした。
日本のアーユルヴェーダの料理教室で教えてもらう時は、事前に先生がドーシャ(心や体などの基本的な性質を表すエネルギー)に合わせたメニューを考えてくれていて、そのレシピを教えてもらうことが多いんです。
今回は先生に教えてもらうだけの一方通行の授業ではなく、教えてもらった後に、「じゃあこの時はどうする?」とスミタ先生が問いをくれて、自分で考えてアウトプットする機会がたくさんありました。もちろんそれを考えるために、食材それぞれが、どのドーシャを上げたり、下げたりしているのかをロジックで丁寧に教えてくれた上で、アウトプットすることが良かったんだと思います。そのおかげで、ただ規則的に覚えていたところから、うんと生活に取り入れやすくなるほど知識が自分のものになりました。
あとは個人的に、アーユルヴェーダの智慧が解かれたシュローカ(インドの伝統的な詩節)を歌って覚えるのっていいなと思いました。私は耳から覚えることが得意なので、口ずさみながら材料や作り方を覚えられるのは、とても羨ましいなとも感じました。そして何より、口伝で伝わってきてる、生きた智慧なんだという側面を感じられて1人で勝手にじーんと感動していました。
あとは、主食になるお米以外の穀類の炊き方やドーサやチャパティやプットゥをはじめ、今まで知ってはいるけどなんだか作ることにハードルを感じていた料理も、自分がでも作れると思えたのも良かったです。
ー元々お料理作ることに慣れているまいさんでもハードルが下がったのは理由は?
実際に材料や作るプロセス、調理器具など全部見せていただいたおかげかも。
何でできているのか、何で代用したらいいかがわからなかったものがわかるようになったり、先生に教えてもらいながら自分でも作っていくなかで、意外と簡単だと気付けました。あとは、日本にはない形の調理器具もインドで買って帰れたので、日本に帰っても作れるなと思いました。
やっぱり、何を使って作るのかを見れたこと、手順を知ること、自分も食べることで、自分にとって馴染みのあるものになってハードルが下がったかもしれません。
それに、日本では馴染みがないインド料理が、日本人の口に合うのかなとも思ってましたが、教えてもらった料理はどれもとても美味しかったし、材料も日本にあるものでできたので、早速帰国後にインドの方と結婚した友人に学んだ料理を振る舞いました。友人からはラクトヴィーガンなアーユルヴェーダのご飯は初めてだったようで肉や魚を使わなくてもこんなに美味しいんだと言ってくれました!
また、ご飯を食べながら学びをシェアすると、食事は作りたいものを作っていた友人にとって、アーユルヴェーダの季節や体質別に献立を考えるという視点が驚きだったようで、アーユルヴェーダを動画やSNSで調べるようになったと話してくれました。
料理は五感を使って楽しむもの
ー帰国してすぐに学んだことを活かせるのは本当にすごい…!インドでの学びが今のまいさん与えた変化などはありましたか?
去年体調を崩したところもあり、料理は自分の体調を整えるためだったところから、「料理は楽しむもの」と感じられるようになりました。というのも、以前は料理は生きてくために必要なもので、私の中ではやんなきゃ!って必死なものだったんです。
留学前は、甘いものとかなるべく食べないようにしていたし、牛乳もお腹が張るからあまり得意じゃありませんでした。でも、留学中は毎日おやつやチャイをいただく時間があって、内心では「本当に要るのかな?」と思っていました。
でも、みんな美味しそうに食べてるし、現地のスタッフの人も「美味しいよ!」と言ってニコニコしてサーブしてくれて、細かいこと気にしすぎてたのかもしれないと思ったんです。
インドでいただく料理が美味しくて、食事の時間が楽しかったことから、身体に良いもの悪いもの色々あるけど、美味しいねってみんなで食べることが一番良いなって。
もっと自由でいいんだと思えるようになりました。
だから、帰国後から食材を選ぶときは、無農薬とか有機とかそういうのも大事だけど、それよりも「キラキラしているもの」を手にとるようになりました。なんか不思議なことを言ってるように聞こえるかもしれないけど、元気があっていきいきしている野菜が輝いて見えるようになったんですよね。だからまずその食材を選んで、食材の声を聞きながら、何を作ろうかなって考えるようになりました。
ー帰国後まいさんのSNSで美しい野菜たちがたくさん登場してましたね!確かにどれも本当にキラキラしてたし、何より本当に愛おしそうに一つひとつの食材を扱ってるのが伝わってきたよ。
そうなの、どれもキラキラしてたでしょうー!
あと”このメニューにはこれが必要だから買わなきゃ!”みたいなのがなくなってきて、
別のものでアレンジしたり、ある食材で感覚的に料理ができるようになったりして、本当に料理が楽しくなってきたなあ。
ーそんなまいさんが教えてくれる料理教室、私も行ってみたいなあ。教室はもちろんだけど、学んだことをどんなふうに伝えたり、活かしていきたいか考えていたりしますか?
そうだな〜。どう活かせるかはまだ考え中ですが、教室の中で伝えるようにしている「五感を意識する」ということは一層大事にしていきたいな。
さまざまな材料からいろんな手順で料理する中で、まずはじっくりと見る。そしてジュワジュワした音に耳を澄ませると、次にタイミングを教えてくれる匂いがあります。材料を加えることで変わっていく香りを知ってからは、私は特に匂いを大切にしています。そうやって、自分の感覚をフルに使って体感することで、文字で書かれたレシピを追うだけでは得られないものを得られると思うんです。だから今度は、私も少しハードルに感じていたお料理も、一緒に五感を使って料理することで、身近なものになったり、取り入れてもらえるようになれたら嬉しいですね。
あとは、アーユルヴェーダはインドのものだから、それを日本でどう活かすかを考える中で、日本には日本にしかない素晴らしい物や感覚があるとも改めて感じられました。
だからこそ、それぞれがどのような効果があるのかを知って、私がインドで学んだアーユルヴェーダと日本で大切にしてきた知恵をどのように融合させて伝えていけるかはこれから頑張っていきたいです!
ー受講生みんなが、インドの学びをどう日本で活かせるか考えてたよね。インドにしかないものもあるけど、日本であるものでどうするかをアヌ先生が教えてくれたり、一緒に考えてくれたよね。私もまいさんと同じでまだまだ考え中ですが、一緒に実践していきながら、見つけられたら嬉しいです。インドだけじゃなく、これからもまいさん、どうぞよろしくお願いします!
INTERVIEWEE
岡本まい
神奈川県出身。2019年にRYT200を取得。
薬局事務の仕事の傍ら、茅ヶ崎でセラピストさんと共催でアーユルヴェーダの料理教室を開いています。
INTERVIEWER
平田和佳
香川県出身。岡山県備前市と宮城県気仙沼市の二拠点生活。
フリーランサーとして働きつつ、2023年セラピストコース卒業後からは学んだことをベースに、セラピストとしてマルマセラピーやアビヤンガなどイベントや間借り営業で複業として行っています。
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